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俳優業はライブ演奏にも通じる!? いしだ壱成さんインタビュー
20代も半ばを過ぎた若者たち。10代のころに抱いていた夢や希望は、いつの間にか色あせ、その輪郭さえ、ぼんやりとしていく。焦り、悩み、そして諦め……。

東京でミュージシャンを目指すアキオは、母の急病で、久しぶりに帰省する。病院で、幼なじみの千春の義父に出会い、千春が失踪したことを知る。いまは亡き千春の母の思い出。「千春と、ずっと仲良しでいてね」という言葉。アキオは、なぜか千春の行方を捜(さが)そうと決意する。千春を捜す旅は、実は、夢を抱いていたころの自分を確認する旅でもあった。

アキオを演じるのは、自らもバンドを組み、精力的に音楽活動をつづけるいしだ壱成さん。本作では、エンディング・テーマも担当している。共演には、千春役に黒谷友香さん、千春の友人に国分佐智子さん、アキオの恋人に能世あんなさんと、ほぼ同世代の女優たちがそろった。今回「エンタゲット!」では、久しぶりの映画出演となるいしだ壱成さんを単独インタビュー! 映画、そして音楽に関する思いを聞いた。
いしだ壱成さん
いしだ壱成(いしだ・いっせい)
1974年東京都生まれ。1992年、テレビドラマ「悲しいほどお天気」でデビュー。ドラマの代表作に「ひとつ屋根の下」「聖者の行進」「リップスティック」など。『ユーリ』(1996)で映画初主演。音楽活動や舞台でも精力的に活動中。
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テンションを変えずに演技で「時間」を表現
いしだ壱成さん
少年のようなまなざしが印象的だったいしださん。言葉の端々(はしばし)から、演じることに対する真摯(しんし)な思いが伝わってくる。

本作の撮影が行なわれたのは、1年ほど前のこと。もう、現場での記憶も薄らいでいるかと思いきや、作品に関するいしださんの話は、実に鮮明で、熱っぽかった。映画は、26歳のアキオの「現在」を軸にして、数か月前、数年前の出来事が、交錯しながら進む、かなり凝った作りなのだ。まずは、そのあたりの苦労話から……。

「初めに脚本を読んだ段階では、正直、混乱しました。3か月前のシーンの後、数年前にさかのぼったりしますから。でも、そこが演じていて面白くもあった」

苦労よりも演じる楽しさのほうが勝っていたそうだ。

「最も楽な方法は字幕で『6年前』とか出すこと。でも、これはしたくないと、監督さんも言ってたんです。だからといって、時間の流れに沿ってテンションを変えて演じたくもなかった。お客さんが見づらいでしょうから。あとは、演技ですよね。セリフやちょっとした表情の違いで、時間の流れを表現する。これが、けっこう難しいけど、逆にやり甲斐がありました」

そのあたりが、ぜひとも見てほしいところだという。

「でもね、たまに、誰かが『あれ、いま撮ってる場面って、いつだっけ?』みたいなことはありましたよ。主に僕なんですけど(笑)」

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飽きないようにするため、新たな発見を
主人公のアキオは、音楽への情熱も薄れかけ、ほとんどフリーター状態。同棲中の恋人との仲も何となくぎくしゃくしている。そんな役柄と自身との距離感は?

「僕も音楽をやっていますから、周囲のミュージシャン連中を見ていて、売れない、芽が出ないときの気持ちは理解できる部分が多かったんです。焦燥感が、やがて空白感や虚無感に陥(おちい)る。何となくわかるよなあ、と」

ただ、いしださん自身は、バンドをはじめると、早くから演奏する場が増えていき、幸いにも空白感や虚無感を感じずに済んだという。そんなことは言ってられないほど忙しい時期が長くつづいた。

「むしろ、つづけていく大変さを感じましたね。どんなことでも、飽きるってことがある。たとえば、舞台のお仕事なんかしていると、本当に飽き飽きしている方がいるんです。『アー、イヤだ』とか言いながら楽屋に入ってきたり(笑)。だから、どうすれば飽きないでいられるかは真剣に考えてきましたよ」

飽きそうになったときは「自分はまだまだじゃん」と思えれば、そこに新たな発見が生まれる。いつでも、そうしたニュートラルな感覚を持てるようにしているそうだ。
いしだ壱成さん
演じたアキオについては「夢も恋愛もうまくいかない彼は、テクニカルノックアウトの状態」と分析。
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父との関係は、現在、作り上げているところ
いしだ壱成さん
インタビュアーの質問に耳を傾ける姿はまじめそのもの。誠実で妥協しない姿が垣間(かいま)見える。

もうひとつ、映画のなかで重要な位置を占めるのが、アキオと家族との関係だ。父は寿司屋を営み、長男のアキオが家を出たため、姉の夫が継ぐことになっている。

「僕の場合、アキオみたいに、堅い家業があるわけでもないし、ああいった親との確執やジレンマというのは味わったことがないんです」

当然、アキオが帰省した際に感じる「居場所のなさ」にも縁がない。

「アキオみたいに、音楽でも芽が出ず、家に帰っても自分の居るべき空間がないとなったら、とことん辛くなるでしょうねえ」

映画では、石丸謙二郎さん演じる厳格な父とアキオはほとんど会話がない。ぴんと張り詰めた関係。こういう父と息子の関係というのは自身に照らし合わせるとどう感じるのだろう?

「父(石田純一)とは16歳のときに初めて会ったんですよ。僕が2歳ぐらいで両親は離婚したらしいので、まったく記憶にない。だから、父と子の関係というものも、よく分からない部分が多くて、その点は、いま建設中です(笑)」

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企画・編集:キッチュ
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