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オークション > エンタゲット! > フランス映画祭横浜2005 > 『マリスコス・ビーチ』ジルベール・メルキさんインタビュー

能天気ファミリーの爆笑コメディー『マリスコス・ビーチ』 ジルベール・メルキさんインタビュー
『ジャンヌと素敵な男の子』のオリヴィエ・デュカステル&ジャック・マルティノー監督の最新作『マリスコス・ビーチ』は、能天気な一家の夏の騒動を描いたハッピーな作品だ。『ジャンヌ〜』同様、いきなり歌い踊るシーンもあり、陽気な気分になれること間違いなし!

思春期を過ごしたなつかしい海辺の別荘に、家族を連れてやってきたマルク。しかし、娘は恋人と旅に出てしまい、息子はシャワーばかり浴びている。そんな折、息子の友人が訪ねてくるが、「息子はゲイなのでは?」と感じた妻の第六感から、事態は大騒動に。けれど、息子のゲイ疑惑にあわてふためく父に対して、妻はいたって寛容。おまけに、妻自身も愛人と密会を重ねている! そして、“衝撃(笑撃?)の事実”が明らかに……。とんでもファミリーの夏は、一体どうなる!?

息子のゲイ疑惑に動揺する父親、マルク役を演じているのは、『原色パリ図鑑』(1997)などで知られるジルベール・メルキさん。シャワーを使いすぎる息子をとがめる、ちょっと口うるさい父親が、その後の大騒動に巻き込まれる様子を、大真面目に、かつコミカルに演じている。そして、今回のインタビューでは、思わぬ爆弾発言も……? 役柄同様、楽しい紳士の素顔をご覧あれ!
『マリスコス・ビーチ』場面
『マリスコス・ビーチ』
海辺の町にバカンスにやってきた4人家族。左から、ゲイ疑惑をもたれた息子、性に対して奔放な妻(ファレリア・ブルーニ=テデスキ)、生真面目なマルク(ジルベール・メルキ)、“家族より恋人”の娘。

自由な雰囲気のなかで行われた撮影
ジルベール・メルキさん
ジルベール・メルキ
ヒット作『原色パリ図鑑』(1997)で人気に。『イブラヒムおじさんとコーランの花たち』(2003)では、主人公モモの父親役を演じた。

妻を愛し、家族を愛する真面目そうな父親役を演じたジルベール・メルキさん。コメディー全開の本作のなかで、一見地味だけれど実はとても重要な役を演じるのは難しかったのではないか?

「いえ、とてもすんなりと演じることができたんです。作品の世界、役の世界にそのまま身を任せて、楽しく演技していました」

監督は“ジャック・ドゥミの後継者”ともうたわれているコンビ監督、オリヴィエ・デュカステル、ジャック・マルティノーの2人。彼らとの初仕事は、自由な雰囲気のなかで行われたようだ。

「監督たちはいろいろなことを俳優にまかせてくれるほうで、私から提案したりもしました。それを彼らが気に入り、採用されたこともありましたし。私としては、とにかく自然になるように、ということを心がけて演じたんです」

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トリュフォーの名作をゲイバーションにリメイク!?
メルキさんに、提案の具体的な内容について聞いたところ、ニヤリと笑い「全部!」と回答。すっとぼけた答えが妙におかしいが、実際の提案は、具体的な仕草というよりも、“演じ方”だったようだ。

「父親はいつも自転車を修理していますが、それはシナリオにあったものです。私が提案したのは、どのように演じるか、ということ。小屋で自転車を修理しているシーンがありますが、私がコソコソ演じるのを好んだから、監督がそう演出したのではないか思います」

この“コソコソ演技”は、マルクの性格をよく表していて大いに笑わせてくれる。ところで、息子のゲイ疑惑で始まるこの作品。フランス映画といえば、『ペダル・ドゥース』や『メルシィ! 人生』などゲイネタのコメディーが多いが、それはなぜだろう?

「今回の2人の監督は、ゲイであることを、作品の全面に出しています。ちなみに、彼らには、ゲイをテーマにした別の作品の予定もあるんですよ」

それは、フランソワ・トリュフォーの『隣の女』のリメイク。この名作をなんと、ゲイバージョンにするという構想があるのだとか!!
左からジルベール・メルキさん、ジャック・マルティノー監督、オリビエ・デュカステル監督
来日時のメルキさんと監督(左からメルキさん、ジャック・マルティノー監督、オリビエ・デュカステル監督)。「同性愛モノにありがちな扇情的、悲劇的な内容でなく、楽しい映画にしたかった」とデュカステル監督。
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役作りのお手本は監督!
ジルベール・メルキさん
映画では、粋(いき)というタイプの役ではなかったが、実際のメルキさんはとってもムーディーな紳士。同席者にキチンと喫煙の許可をとってから一服する姿が、格好いいのなんのって!

『見たい、見たい!』と大喜びの取材班一行。さらに、メルキさんは続ける。

「実際にそれが撮られるかどうかわからないけどね。いずれにしても世界にはゲイ監督がたくさんいるけれど、作品のなかでゲイを扱うとは限りません」

だが、“ゲイ監督の視点”は、俳優にとって興味深いもののようだ。

「アンドレ・テシネやガス・ヴァン・サントもゲイの監督ですが、彼らはゲイの話以外の作品もたくさん撮っています。ただ、ゲイの監督の視点は、毎回違うものが出てくる──というか、多様性があると思いますね」

そして、今回の役作りの秘訣はこうらしい。

「監督をお手本にしました!」

どんな役柄なのか、ちょっと想像できたのでは?

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シリアスな作品には豊かさが、コメディーには笑いがあります
とんでもない事態を乗り越えて(?)、ラストシーンでは、さらにスゴイ展開を迎えることとなるマルクと家族。見事なコメディーセンスに彩られた“人生讃歌”を、笑いながら見ていると、日常の問題なんて些細なことに思えてくる。

性におおらかな妻役を演じたヴァレリア・ブルーニ=テデスキさん、強面だけどちょっとセンチな配管工役を演じたジャン=マルク・パールさんはじめ、本作では、俳優たちがみんな、実に楽しそうに役を演じている。もちろんメルキさんも! やっぱりコメディーのほうが演じやすいのだろうか?

「コメディーの良さ、シリアスドラマの良さがそれぞれあるので、シリアスな映画にも出演しますよ(笑)。最近だと、アンドレ・テシネ監督、カトリーヌ・ドヌーブとジェラール・ドパルデューが出演した『Les Temps qui changent』(2004)でシリアスな役どころを演じました。シリアスな映画に出演するということは、みんなを豊かにさせることでもあるんです。コメディーの場合は、笑いがありますね。それぞれ違う楽しさ、感性があるんです」

最後にこう言い残すと、メルキさんは格好良くインタビュールームを後にした!

(テキスト:中山恵子/撮影:須藤夕子)
ジルベール・メルキさん
パンフレットにサインとコメントを書き込み中。なにやら日本語にも興味しんしんのよう。

企画・編集:キッチュ
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