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オークション > エンタゲット! > フランス映画祭横浜2005 > 『描くべきか、愛を交わすべきか』兄弟監督インタビュー

カンヌで話題騒然!『描くべきか、愛を交わすべきか』の アルノー&ジャン=マリー・ラリユー監督インタビュー
美しい山の風景、フランスの名優による繊細な演技、シックな音楽……。いかにもフレンチな大人の映画だが、あっと驚く意外な展開が! 映画の楽しさを存分に満喫させてくれるのが、アルノー&ジャン=マリー・ラリユー兄弟監督による『描くべきか、愛を交わすべきか』だ。

早期退職したウィリアムと妻のマドレーヌは、娘の自立後、山のふもとでのんびりと暮らしていた。ある日、草原で絵を描いていたマドレーヌは、盲目の男性アダムと知り合い、互いの妻や夫を交えての交流がはじまる。そんななか、アダムと彼の恋人のエヴァが住む家が焼失。ウィリアムとマドレーヌ、アダムとエヴァの2組のカップルが同居することとなり、次第に、互いの相手に引かれていくが……。

今年のカンヌ国際映画祭で賛否両論を巻き起こした本作について、監督2人に話を聞いた。
『描くべきか、愛を交わすべきか』場面
『描くべきか、愛を交わすべきか』
ウィリアム(左/ダニエル・オートゥイユ)とマドレーヌ(右/サビーヌ・アゼマ)の熟年夫婦は、美しい自然に囲まれた土地で、悠々自適の隠退生活を送っていたが……。

ショッキングなテーマを、イノセントに仕上げた
左から、アルノー・ラリユー監督とジャン=マリー・ラリユー監督
ジャン=マリー・ラリユー(右)&アルノー・ラリユー(左)山岳ものを得意とする兄弟監督。主な監督作は『Fin d'ete(夏の終わり』(1997)、『運命のつくりかた』(2002)など。2003年のフランス映画祭横浜にもゲスト参加している。

ピンクとブルーのTシャツ姿がなんだかかわいらしい(失礼!)アルノー&ジャン=マリー・ラリユー兄弟監督。サングラスをかけているのが弟のアルノー氏、サングラスなしが兄のジャン=マリー氏だ。

脚本も共同で手掛けているが、撮影現場では弟が主にカメラワーク、兄が俳優とのミーティングを担当するらしい。まずは、興味深い脚本について、アイデアの源をうかがった。

ジャン=マリー
「この映画は熟年の夫婦の話でもあり、人との出会いの話でもあり、アマチュアの絵描きの女性が抱えている疑問もあつかっている。また、目に見えるものと見えないものとの関係、風景と体との関係、愛、愛情に関すること……。いろいろなテーマが含まれているもので、2人で書き上げました。テーマはショッキングですが、イノセントに描いた作品です」

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熟年夫婦が、自分たちを再発見する物語
熟年のブルジョア夫婦役を演じたのは、ダニエル・オートゥイユ(夫役)とサビーヌ・アゼマ(妻役)。平和だけれどちょっと途方に暮れているような日常から、戸惑いながらも新たな自分たちを発見する過程をさりげなく表現している。

ジャン=マリー
「誰からも、あの俳優をつかってくれ、などと言われなかったので、自分たちが仕事をしたい役者に演じてもらうことができました。最初に決まったのはサビーヌ・アゼマで、彼女は3日間でシナリオを読んで、すぐに撮影に入ってくれました。ダニエル・オートゥイユは大変に忙しい方ですが、1時間だけ会ってくれたんです。そのときに作品について話をしたら、すぐにOKをもらえました」

この熟年夫婦に「新たな感覚」をもたらすのは、アダムとエヴァの若いカップルだ。盲目であるがゆえに「目に見えないもの」が見えるアダムは、マドレーヌの心の奥底を見透かしている。

ジャン=マリー
「アゼマとオートュイユの熟年夫婦を揺さぶる役なので、アダムとエヴァの役には外国人がいいんじゃないか、と思っていました。実際に、アダム役のセルジ・ロペスはスペイン出身、エヴァ役のアミラ・カサールも外国で育った人。最初、エヴァ役は別の女優を考えていましたが、スケジュールが合わず、アミラに依頼しました。エヴァという役は、ルックス的には、ゴーギャンの絵画に出てくる女性がイメージです。そういった意味でも、アミラを選んだのは正解でした」
『描くべきか、愛を交わすべきか』場面
映画の場面写真。熟年カップルの心を揺さぶる盲目のアダム(左/セルジ・ロペス)とエヴァ(右/アミラ・カサール)。
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どこにいても映画は撮れるけれど、大自然が好き
左から、アルノー・ラリユー監督とジャン=マリー・ラリユー監督
取材は、俳優とのミーティング担当でもあるお兄さんのジャン=マリー氏が答え、弟の寡黙なアルノー氏が横でうなずく……という、役割分担で進んだ。

本作の舞台は、美しい山のふもと。実は監督はピレネー地方出身で、前作でもピレネー山脈を舞台にしているほどの山岳好きなのだ。なぜ山にこだわるのか、また今後、都会を舞台にすることはあるのだろうか?

アルノー
「私たちはピレネー山脈の出身で、これまでの作品はピレネーで撮ったけれど、今回の舞台は別の土地なんです。場所は関係なくて、どこでも撮れると思います」

ジャン=マリー
「もちろんどこにいても映画は撮れるけれど、自分としては大自然が好き。この日本という場所で、街と自然を対比させて考えてみるのは面白いですね。大都会ですが、地震がある。ということは、自然の力を身近に感じているわけですから」

今回来日したゲストのなかで、やはり地震の話をしていた俳優がいたが、地震の少ないヨーロッパの人にとって、東京のような都市で頻繁(ひんぱん)に地震が起きるということは、とても怖く感じられるようだ。

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「肉体の喜びや快楽」を日本人がどう受け止めるのか楽しみ!
2組のカップルが、互いの相手に引かれていくというショッキングなテーマのこの作品は、今年5月のカンヌ国際映画祭のコンペ部門に出品されて、賛否両論を巻き起こした。

ジャン=マリー
「カンヌでは観客にはものすごく受けたんですが、カンヌの客はちょっと特別なので、一般的な受け止められ方については、一概にはいえません。ただ、好き嫌いがはっきり分かれていましたね」

その理由については、こう分析する。

ジャン=マリー
「ラテン系の人とアングロサクソン系の人では反応がまったく違ったんです。アングロサクソン系の人は、肉体の喜びや快楽を悪とするので、この映画の根本にあるところをもしかしたら理解できないのかもしれない。というか、考え方が違うんですよね。日本人は快楽を求めることに対して、どういう考えをもっているのか、ということを今回の上映を通して知りたいですね」

(テキスト:中山恵子/撮影:須藤夕子)
左から、サイン中のジャン=マリー・ラリユー監督とアルノー・ラリユー監督
日本語に並々ならぬ興味を持った2人の監督。取材班に漢字についていろいろ質問しながら、オークションアイテムに、とってもアートなコメントを書いてくれました。

企画・編集:キッチュ
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