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真の心は相手に伝わる ハン・ヨルムさんインタビュー
青い海原に浮かぶ、漁船が一隻。船から垂れたブランコで、ゆらゆらと揺れる少女。彼女を狙う老人の弓がひかれた瞬間にスクリーンが暗転。この予告編が今、話題になっている。

低予算にこだわり、シンプルな設定で人間の心のひだを描くキム・ギドク監督の独特の世界観は、韓国映画界において異端中の異端、まさにキム・ギドク・ブランド。いまや世界中で高い評価を受けている。

最新作『弓』でも、デビュー以来一貫して描いてきた“至上の愛”をうたい、船の上という世間から切り離された舞台で展開される、老人と少女の物語をつむぎだす。

老人の強い愛情を受ける少女を演じるのは、ギドク監督の新しいミューズ、ハン・ヨルムさん。セリフのない、目と心の演技だけで、かれんさ、妖しさ、神秘性、エロチシズム、尖った純情さを見事に表現する存在感。

彼女の口からこぼれ出る美しい言葉の数々。それは自分自身をしっかりと見つめている確かさにもとづいているようだ。
ハン・ヨルムさん
ハン・ヨルム(はん・よるむ)
1983年生まれ。高校3年生のときソウルでスカウトされ、雑誌やCMのモデルとしてデビュー。キム・ギドク監督の10作目『サマリア』(2004年)のオーディションに合格。女優として活躍中。
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この役が演じられるよう祈り続けた
ハン・ヨルムさん
この役を演じることに強い熱意を持っていたと語るヨルムさん。かれんさのなかにも、意志の強さを感じさせてくれました。

キム・ギドク監督がベルリン国際映画祭監督賞を受賞した『サマリア』にも出演していたヨルムさん。ギドク監督から次回作『うつせみ』の脚本について意見を求められ、そのときに、この作品『弓』の構想を聞かせてもらったのだという。

「海の上だけで起こる話で、老人と少女のラブストーリーだと聞きました。おじさんと少女のラブストーリーはよく聞きますが、老人と少女のラブストーリーはあまり聞かないので、とても興味を持ったんです。特にラストがとても感動的で、話を聞いただけで悲しくなって、ぜひやりたいと思いました」

しかし、いくら監督と仕事をしたことがあっても、さすがにこの役を「自分に演らせてほしい」とは言えず、ギドク監督から出演依頼がくるように、一生懸命毎日お祈りをしていたという。

「毎日、片時もこの役のことを忘れないでいました。もしも忘れてしまったら、その瞬間、監督の頭のなかに他の女優さんが浮かんでしまい、この役を取られてしまうということが、とても心配だったからです。1か月間、一途に待っていたら、監督から『一緒にやろう。できるか?』と言われ、ありがたくこの作品に参加させていただきました」

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寒さに耐えてこそ
ようやく思いが叶って少女の役を演じることになったヨルムさんだが、連日撮影が行われるのは、真冬の海の上。吐く息も白くて、とても寒そうに見える。

「確かに寒かったんですが、とてもやりたかった役。尊敬する監督の作品、そして優秀なスタッフに囲まれた作品でしたので、『どうしてもやりたい』という気持ちで乗り切れたのだと思います。キャラクターの設定上、下着をつけることもできませんでした。上から下から冷たい風が入ってきて、本当に寒かったんです。でもそのたびに、これくらいできなければ人間じゃない。これくらいできなければ、死ぬまで何もできなくなるぞと自分に言い聞かせて、毎朝、現場の海の上に出かけていきました」
『弓』場面
『弓』より。少女(ハン・ヨルム)はある出来事をきっかけに、弓を自分の手に取る。その先にあるものは……。
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企画・編集:キッチュ
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