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オークション > エンタゲット! > 紀子の食卓 > 園子温監督・吉高由里子さんインタビュー

厳しく演出する監督と、何回も泣かされた女優!? 園子温監督・吉高由里子さんが語る撮影秘話
園子温監督の新作『紀子の食卓』は、女子高生の集団自殺、家出、そしてレンタル家族という、現代の家族のあり方について考えさせられる衝撃作だ。

主人公・紀子役に映画『雪に願うこと』の体当たり演技が記憶に新しい吹石一恵さん。そして、紀子の妹・ユカ役を演じ、みずみずしい存在感を見せたのが、吉高由里子さんだ。

吉高さん演じたユカは、東京で消えた姉・紀子の後を追って家出してしまう。映画の後半では、このユカを軸に物語が展開するなど、実質的なデビュー作でありながら、極めて重要な役どころだ。撮影が行われたのは2年前の12月から翌年の2月にかけて。園子温監督とともに、撮影中の思い出について語ってもらった。
『紀子の食卓』場面
『紀子の食卓』
海外でも高い評価を得ている鬼才、園子温監督が放った衝撃作『自殺サークル』の続編。生きる実感を求め、レンタル家族にはまる娘たちと、その行方を追う父親の行動を通し家族のあり方や「本当の自分とは?」と問う問題作。
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初対面の印象は「怖い人」
園子温監督
園子温(その・しおん)
1961年生まれ。17歳で詩人デビュー。1985年、映画『俺は園子温だ!』で初監督。映画『うつしみ』『自殺サークル』などが国内外で話題に。最新作『HAZARD』が公開待機中。

吉高由里子(以下、吉高)「監督、お久しぶりです。髪の毛も伸びたし、やせましたね(笑)」

園子温(以下、園)「もう、撮影からずいぶんたつからな。あのころは、何歳だったの?」

吉高「16歳でした。とにかくオーディションのときに初めて監督にお会いしたときは、怖い人だなあ、と。ずっとタバコを吸っていて、ムスッとしていて。そのくせ、確かクランクインの日、違うロケバスに乗ってしまって、監督だけ遅刻したんですよね」

「そんなことあったっけ? もう忘れたよ」

吉高「初めてシナリオを読んだとき、繊細な内容だなあって思ったんです。『自殺サークル』は見てましたが、それよりも、もっと悲しくて、もう少し温かい作品ですよね」

「僕としては、『自殺サークル』を作ってしまったがために、作らざるをえなかった作品なんだよ。あまりに世界に対する悪意があって、挑発しつづけた映画だったから収束させる必要があった」

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インターネットとレンタル家族をキーワードに
吉高「どういうところから、今回の作品は発想したんですか」

「人と人との関係性を深く掘り下げたかったんだ。その関係性を解くキーワードが、インターネットとレンタル家族だった」

吉高「レンタル家族って、もしも本当に存在していたら怖いですよね。でも、人は人を求めているわけで、寂しくて怖いけど、その本人にとっては温かいのかなあ」

「実は、15年ぐらい前にある風俗嬢に取材した際、こんな経験を話してくれたんだよ。立派なホテルに呼ばれて行くと、おじいちゃんが待っていた。そのおじいちゃんが、自分で作ったお見合い写真を見せて、『こういう部下がいるんだが、見合いをしないか』と。その女性はアドリブで『お父さんを置いて結婚なんてできない』とセリフをしゃべり、おじいちゃんのほうも『バカ者、婚期を逃すぞ』なんて答える。今回シナリオを書くときに、それを思い出したんだ」
吉高由里子さん
吉高由里子(よしたか・ゆりこ)
1988年生まれ。ドラマ『チルドレン』『時効警察』などに出演、鮮烈な印象を残す。本作が本格的映画デビュー作となる。
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虚構のうえに成り立つ家族の関係性
園子温監督と吉高由里子さん
家族の関係性について語る園監督と、聞き入る吉高さん。作品のテーマともいえる話題だけに、それまで笑顔だった2人とも真剣な表情です。

吉高「一方でユカの現実の家族があるんですけど、そちらとレンタル家族と、どっちがリアルなのか分からなくなっちゃうんですね」

「ユカの家族も、光石(研)さん演じる父親の願望で、無理やり家族を演じさせられてるわけ」

吉高「客観的に見たら、お父さんもかわいそうなんですけどね」

「ただ、その父親も伝統的な“父親”像を演じている。両親と姉妹の四人家族、家族の絆があるかのように。『うちは幸せだよな』って家族にたずねると、みんな、いやいやながら相づちを打つみたいなね。けっこうそういう家族や父親っていそうでしょう?」

吉高「だから、レンタル家族のほうがリアルに見えたりするのかな」

「つぐみ演じる女性が実の母親に向かって『下手くそ』って言うでしょ。『上手く演じてない』って。彼女には、人間関係なんてすべて虚構で、すべて仮面で、すべて演技なんだという思いがある。それがユカの家族とシンクロしていくんだね」

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企画・編集:キッチュ
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